飽和水蒸気圧曲線を描く (2)
前回は、水面あるいは氷面に対する飽和水蒸気圧と温度との関係を表す理論式であるクラウジウス・クラペイロンの式を導いた。式の導出に、いささか長い過程が必要であったため、前回はエクセルの出番がなかった。今回は、このクラウジウス・クラペイロンの式を用いて、飽和水蒸気圧をエクセルで計算してグラフにしてみよう。
ここで、は、水の三重点の温度を絶対温度で表したもので、である。は、水の三重点における飽和水蒸気圧で、である。 列 B には、摂氏目盛の温度をオートフィル機能を用いて記入した。列 A には、列 Bの値に273.15を加える式を書き込み、絶対温度目盛りの温度とした。実際の計算では、列 Bの値ではなく、列 Aの値が参照される。列 Bは、グラフの軸の表示のために用意したものである。
上の図の数式バーに C3 セル記入した数式が表示されている。この数式を列Cのその他のセルにコピーする。D3 セルには、 C3 セル記入した数式の中の $C$1 を $D$1 と書き換えた式を書き込む。そして、この式を列Dのその他のセルにコピーする。これで、水面と氷面に対する飽和水蒸気圧の計算ができる。この表には、水面に対する飽和水蒸気圧と、氷面に対する飽和水蒸気圧の差の計算も行った。そのためには、列Cマイナス列Dという式を列Eに書き込むだけでよい。具体的には、E3セルに=C3-D3 と書き込んで、下にコピーすればよい。
このグラフから、温度上昇に伴って、飽和水蒸気圧が急激に上昇することが分かる。
氷面に対する飽和水蒸気圧が、過冷却水面に対する飽和水蒸気圧より若干低いことが分かる。
上のグラフの温度がさらに低下した部分がどのようになるかも知りたいところだ。そのようなグラフを作成するには、最初に示したエクセルの表を、さらに低温側に延長する必要がある。そのためには、3行目をマウスでポイントし、そのまま下にドラッグして複数の行を選択し、そこでマウスの右クリックをして現れる選択ボックスの「挿入」を選択して、行を挿入する。列Bの値をさらに低温側にオートフィルするには、マウスをドラッグして-18と-20のセルを選択し、マウスで-18のセルの右下角をポイントし、ポインターが黒い十字マークに変化したら上向きにマウスをドラッグする。これで、2℃間隔の温度目盛りデーターがオートフィルされる。
過冷却水面と氷面に対する飽和水蒸気圧の差が、マイナス60℃以下ではきわめて小さくなることが分かる。なお、この差が最も大きくなるところは-12.4℃付近であることが、温度間隔を細かくして計算した結果から分かる。 |