混合比と相対湿度の関係をグラフにする
大気中に含まれる水蒸気の量の表し方には様々なものがある。その中で、天気予報で耳にすることが多いのは相対湿度(Relative Humidity)であろう。相対湿度は、大気中の水蒸気量と飽和水蒸気量との比を%で示したものである。その値RHは、水蒸気の分圧と飽和水蒸気圧を用いて、以下のように表される。
相対湿度は、毛髪などの繊維の伸縮に影響を与えることから、その伸縮量を利用して計測可能な量である。また、導電率や誘電体の静電容量に影響を与える性質を利用して計測可能である。そして、相対湿度は植物の蒸散や動物の発汗作用との関係が深く、また土壌からの水分の蒸発量に影響する重要な値である。
ここで、水蒸気の状態方程式は、
であり、この水分を除いた乾燥空気の状態方程式は、
である。これらの式中で、は、水蒸気の比気体定数(普遍気体定数をその気体 1 mol の質量で割った値)で、は、乾燥空気の比気体定数である。ここで、乾燥空気の比気体定数と、水蒸気の比気体定数との比をとすると、その値は、乾燥空気と水蒸気のモル質量の比の逆数となり、以下の値となる。
これらのことを利用して、混合比の定義式を変形すると、以下の式が導かれる。
ここで、は大気圧である。気温30度における飽和水蒸気圧が約43 hPa であり、標準大気圧1013 hPaの4%程度しかないことから、通常の条件下では分母の e を無視しても誤差は少なく、混合比は右辺の最後の式で近似できる。
となる。
計算に用いたエクセルのシートを上に示した。列Aに相対湿度の値を0%から100%まで10%刻みに、オートフィル機能を使用して書き込んだ。2行目には、摂氏の気温を2度間隔に記入した。1行目には、以前テーテンスの式で計算した各気温に対応する飽和水蒸気圧の計算結果を値のコピーで貼り付けた。
計算結果のグラフを上に示した。相対湿度を示すグラフは、気温が上昇するにしたがって、急激に増加する曲線となっている。各相対湿度のグラフが、横軸の気温と交わる点で、縦軸の混合比の値を読み取ることができる。たとえば、相対湿度70%の曲線が気温30度のところで縦軸方向を見ると、混合比は約19 g/kg と読み取れる。
日本の気候で一般的な気温と相対湿度の部分を拡大して作成したのが、上のグラフである。なお、これらのグラフは、海面の標準気圧で計算した。
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