20130507Fuji1

エクセルのグラフで学ぶ気象学0048


横軸を温位とした熱力学図を描く (3)

 前2回で、横軸を温位とした等温線と等飽和混合比線を描いた。今回は、横軸を温位とした湿潤断熱線を描いてみよう。横軸を気温とした湿潤断熱線の描き方は、湿潤断熱線を描く (1)から湿潤断熱線を描く (4)で説明したとおり、各高度の飽和混合比と飽和水蒸気圧を逐次求めながらのステップ計算が必要であった。そのため、湿潤断熱線図として仕上げる際には、各湿球温位の計算結果を一つのシートに数値コピーした表を用いて作成した。

 横軸を温位とした湿潤断熱線を描くには、すでに得られている横軸を温度とした湿潤断熱線の計算結果を利用して、その結果に温度を温位に変換する操作を施すのが簡便である。温度を温位に変換する式は、前回も使用した以下の式を利用する。

TtoTheta.jpg"

 手順としては、以前作成した温度を横軸とした湿潤断熱線図の計算結果をAssembleという名称のシートにあるとすると、そのシートの内容を、新たなシートに数値コピーする。コピーするのは、データの形が同じシートを作成するためである。そして、新たに作成したシートのB5セルに、以下のシートの数式バーに示された数式を書き込む。この式は、摂氏の単位の湿球温位を絶対温度に直して、温位に変換し、再び摂氏の単位に戻しているだけである。

SaturationAdiabatic26.jpg"

 その後、B5セルの内容を、軸とすべきセル以外のすべてのセルにコピーすれば完了である。シートをコピーすると、前回作成したグラフも一緒にコピーされる。ただ、コピーされたグラフでは、データーは元のAssembleシートのデーターを参照している。そのデーターの参照元を、「データーの選択」で新たなシート名を指定することで、新たなグラフも完成する。

 完成したグラフを以下に示す。

SaturationAdiabatic27.jpg"

 横軸を温位とすると、湿潤断熱線が外観は大きく変化した。温位が0℃以下の湿潤断熱線は、水蒸気をほとんど含まないことから、ほぼ垂直線となっていて、高度が上昇しても温位が変化しないことが分かる。一方で、温位が高い湿潤断熱線、特に温位が30度以上では、高度上昇とともに温位の上昇が大きいことが分かる。高度上昇に伴って、大量の凝結の潜熱を放出するからである。

(2011.4.19)


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