対流抑制(CIN)
オーム社の気象予報士試験 標準テキスト実技編のP62の後半から、[3]エマグラム(状態曲線)として、エマグラム関連の説明がまとめられている。その中で、P66の対流抑制の説明と、その説明に用いている図の表示との間に対応しない部分がある。
その図4.2-16を上に引用させていただいたが、「A」はどこにも存在せず、この図からは、「TLF」で囲まれた面積が対流抑制となるはずである。
上に引用させていただいたのは、気象予報士試験速習テキスト実技編の図6・3である。本書の図4.2-16とよく似ているが、図4.2-16で「T」と表記された点が「A」と表記されている。
上に引用させていただいたのが、学科編のP41にある図4-1.3-3である。学科編でも、「CAPE」と「CIN」の部分が同じ斜線で表示されており、分かり難い。「CAPE」はA(+)、「CIN」はA(-)で区別されている。また、各点がすべてpに添え字を付けたもので示されており、これも分かり難い。pは圧力を示すのではなく、ポイントを示すことからpが用いられているようである。もともと、「CAPE」と「CIN」の説明図ではなく、条件付き不安定を説明する図であるから仕方ないのだろうか?
そして、「CAPE」の定義として、次の式(3・27)が、
「CIN」の定義として、次の式(3・28)が掲げられている。
「CIN」の定義式としては、下に示すような親切心がほしいところだ。
ここでは、式で説明し、それが図4-1.3-4の斜線部と網掛け部に対応することの説明はない。
この図でも、「CAPE」と「CIN」が同じ斜線表示となっていて区別を付けにくく、「CIN」が「ABC」で囲まれた部分の面積であるという具体的な説明はない。一方、その値は次のような数式で示されている。
学科編では高度座標であったものが、実技編では圧力座標となっているのだ。両者の表現形式が2冊学べば分かるということか。ところで、実技編では「CIN」にマイナス符号が付かない的儀式となっている。式(10)では、低い位置(高い気圧)から高い位置(低い気圧)を引く形の積分範囲を取ることによって、マイナス符号が出ることを避けている。一方、式(11)は、高い位置(低い気圧)から低い位置(高い気圧)を引く形の積分範囲となっている。
なお、気象予報士試験速習テキスト実技編でも、同じような図が2か所に出てくる。上に引用させてもらった図23.5は、同書のP93にあるのだが、本書の図8.5-3とよく似ている。ただ、「CAPE」は斜線で、「CIN」は網掛けとなって区別されている。一方、本書の図にある「A」、「B」、「C」、「D」の交点の表示はない。
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