オーム社の気象予報士試験 標準テキスト 実技編 補説05


日本海低気圧の解説図

 オーム社の気象予報士試験 標準テキスト実技編のP147からP151にかけて、5.5.2 日本海低気圧について詳しく解説されている。本書では、豊富な内容を、限られた紙面で解説するために、天気図の大きさは極力小さくしたものと思われる。ここまで小さな天気図を、じっくり見ることはかなり苦痛を伴う作業となる。そのため、ざっと見て細かいところを見過ごしてしまいがちになる。

 本節の、日本海低気圧の実況解説では、図5.5-12 地上天気図図5.5-13 (a)500 hPa 天気図、(b)500 hPa高度・渦度解析図、図5.5-14 (a)850 hPa 天気図、(b)850 hPa 気温・風、700 hPa 鉛直 p速度解析図を用いて説明している。

 そんなものかと本文のみ読み進むと見落としてしまうが、よく見るとおかしなことになっている。下に示すのは、図5.5-13 (a)500 hPa 天気図、(b)500 hPa高度・渦度解析図(気象庁提供)
  XX年3月4日21時(12UTC)
として掲載されているものである。

Fig5-5-13ab.jpg"

 この天気図を用いた解説を引用すると以下のとおりである。

 図5.5-13(a) の500 hPa 天気図で黄海に気圧の谷があり、図5.5-13(b) の 500 hPa 高度・渦度解析図で見ると、山東半島東端に +227×10-6/s の正渦度極大値があり、地上低気圧の西にあるので低気圧は発達中である。

 以下に、図5.5-13(b)を拡大して示す。

Fig5-5-13b.jpg"

 等値線が高度ではなく、気温であることが分かる。また、山東半島東端に +227×10-6/s の正渦度極大値は読み取れない。自信を持って読み進められないと、ここでくじけてしまうだろう。

 さらに下に読み進めると、実は図5.5-13(b)と、図5.5-14 (b)の850 hPa 気温・風、700 hPa 鉛直 p速度解析図とが全く同じ図であることに気付く。図を間違えて挿し込んでいるのだ。

  500 hPa 高度・渦度解析図がどんな図になるかは、図5.5-17 500 hPa 高度・渦度予想図(a)12時間に近いものであり、この図では、朝鮮半島に +219×10-6/s の正渦度極大値が読み取れる。

(2010/12/22)  



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