訳者の私的画像集23


ウインチェスターの最強マグナム装弾

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 訳者は1989年の秋に、アメリカ合衆国イリノイ州のイースト・アルトンにあるウインチェスターを訪問する機会を得た。この特大散弾実包のダミーは、その際に、社内の土産物店で購入したものである。口径は12番で、全長は17 cm以上ある。

 赤いプラスチック製のきょう体側面には、黒で「WINCHESTER」とウインチェスターのロゴ、及び「SHOTSHELL FACTORY」と印刷されている。

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 インチスケールを当ててみると、全長が約7インチあり、質量は約128 gである。散弾銃の実包(装弾)の寸法や質量は、拳銃やライフル銃用の実包と比較して、その範囲がきわめて広い。カートリッジ・オブ・ザ・ワールドの12番を見ても、実包長は1.25インチ(クリンプした状態)から5.00インチ(クリンプを解いた状態)の広範囲に及び、弾量は7/8オンス(24.8 g)から2.5オンス(70.1 g)まで及んでいる。

 それでも、この最強マグナム実包の全長7インチ、推定弾量4.2オンスにはかなうものはない。

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 黄銅メッキされたスチールヘッドには、「WINCHESTER 12GA」のヘッドスタンプがある。きょう体底部と雷管表面には、平行状の発射痕様の痕跡が見られる。雷管の中央には撃針痕様の凹みもある。そのため、ケースヘッドは、打ち殻薬莢のものを利用した可能性が考えられる。雷管のみ発火させたものを新品のケースヘッドに取り付けるよりも、打ち殻薬莢のケースヘッドをプラスチック製のきょう体から分離した方が手間がかからないかもしれない。手間がかからないかもしれない。

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 火薬類は含まず、先端は紙製の口蓋をロールクリンプしている。立てて置くと安定が悪いし、寝かせておくと転がるので、ペーパーウエイトには不向きだ。それでも当時、お土産品としては一番人気だと聞いた。

 ウインチェスターには、イリノイ州の首都スプリングフィールドから車で南に下って行った。季節は11月の上旬で、刈取りの終わった広大な耕作地の中を進んでいった。時々、干し草(刈り取った小麦の茎)を巨大なコイル状にしたものを満載したトラックが、ノロノロとそうこうしており、その後ろに付くとなかなか追い越せないことがあった。

 当時は位置関係も知らずに連れて行ってもらったが、今見るとセントルイスから25 kmぐらいの所で、スプリングフィールドからは直線距離で90 kmぐらい離れた場所である。ウインチェスターの工場周囲は広大な緑に囲まれていて、終始小鳥のさえずりが聞こえていたと覚えている。その中に、赤い円筒状の塔があった。散弾粒の製造塔である。この薬莢のように赤く塗装された塔だったと記憶している。鉛を溶かして落下させると、球形弾ができる。大型の球形弾を作るには、塔を高くする必要がある。

 もう、ずいぶん昔のことになる。

 
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