訳者の私的画像集50


野球帽コレクション8 ATFのシースファイヤー作戦の野球帽

 1990年代のアメリカでは、FBIとATFが発射痕自動鑑定システムの覇権をめぐって競っていた。FBIは「ドラッグファイヤー」と名付けるシステムを開発し、全米の警察に普及させようとした。一方ATFは、犯罪に使用される拳銃の一掃を図る「シースファイヤー作戦(Operation Ceasefire」を打ち上げ、カナダのFT社(フォレンシック・テクノロジー・インコーポレーション)と提携して、同社が「ブレットプルーフ」と名付けたシステムを「シースファイヤー・システム」と名称を付けなおし、これも全米の司法警察機関への普及を図った。その経緯については、(発射痕鑑定システムの歴史)で紹介した。

 シースファイヤーとは、そもそも停戦を意味する軍事用語であるが、ドラッグファイヤーと同様に、銃器(ファイヤーアームズ)を連想させ、その犯罪使用をやめさせることを意味する言葉として選ばれた。犯罪組織と停戦協定を結ぶのではなく、犯罪組織を徹底的に壊滅することを目指しているので、軍事用語のシースファイヤーとは意味が異なる。

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 このATFの野球帽は、その頃の記念品である。正面から見ると、白い帽子に青で「ATF」、橙色で「CEASEFIRE」と書かれている。ただし、「CEASEFIRE」の「F」は「ATF」の「F」で代用されている。15年近くの保管状態に問題があり、白い部分に茶色い斑点がたくさん生じてしまった。

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 横から見ても、大分変色が目立つ状態となってしまった。帽子のクラウンには6個の換気孔が開けられており、その周囲は青い糸で縫い付けられている。

 

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 庇を除くと、すべて真っ白の帽子であった。帽子のサイズは、アメリカンホックで7段階に調節できる。右側に並んだダボに左側の穴を被せるようになっている。

 

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 庇は、正面の「ATF」の文字と同じ鮮やかな青色をしている。庇の幅は約18 cmで、わずかに湾曲している。庇の部分は8条の糸で密に縫いこまれている。  

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 帽子の裏当てはなく、すべて綿でできている。

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 品質表示タグを見ると、スリランカ製と表示されている。

 その後、シースファイヤー・システムが発展したIBIS(アイビス)がドラッグファイヤーの通信機能を吸収し、NIBIN(ナイビン)という全米統一の発射痕鑑定システムとなった。その時点で、シースファイヤーの名前は聞かれなくなった。

 ここまで、汚れてしまったので、この夏の猛暑時に実用に供した。日射しの強いときに買い物に出る際に愛用した。猛暑の中、元の職場に呼ばれた際もかぶって行った。

 この画像集を1から50まで、退職後の2010年4月から10月にわたって書いてきた。ここでしばらく休み、この続きは、2011年3月ごろから始めたいと思う。

 
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