訳者の私的画像集42


マグカップ・コレクション7 フェデラル社のマグカップ

 訳者は、事件捜査の関係で、銃器関係の会社を訪れたことが1度だけある。それは、アメリカ合衆国ミネソタ州アノーカの地にあるフェデラル社だ。1996年11月7日(木)と8日(金)の2日間のことであった。

 ワシントンDCからミネアポリスまで空路で移動し、ミネアポリスから北に約40kmのアノーカまでは、ATFの若手エージェントが運転する車で移動した。ミネソタ州は合衆国でも北部に位置し、11月上旬はすでに初冬の装いであった。

 捜査目的の訪問者に対して、フェデラル社は当初、強い警戒感を露わにしたが、最終的には理解し合える関係が築かれたと思っている。

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 その訪問の際の会社からの記念品が、このマグカップである。真っ白な陶器のカップを右手で持つと、シェリフバッジを模したヘプタグラム(七光星)が描かれ、その中に円形でLaw Enforcement(警察)の文字が書かれ、その下に会社名のフェデラルと表示されている。中心部には五光星が描かれている。

 フェデラル社は、警察用に特化したプレミアム実包を提供しており、それを誇らしげに示したマグカップである。治安の維持に協力することは、社会に対する最大の貢献であるからだ。

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 左手でマグカップを持っても、見えるものは右手で持った時同じものである。

 

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 このマグカップは、その後お気に入りのものとなり、自宅でコーヒーを飲む際に長らく使用した。

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 マグカップの底も、糸底の部分を除くと、真っ白に着色されている。底には、小さな青いシールが貼られていた。長らく実用に供した後にもかかわらず、このシールが残っていた。

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 なんと、貼られていたのは日本製を示すシールだ。

 フェデラル社がミネソタ州アノーカの地で実包製造を開始したのは、1910年代にさかのぼる。当初、レンガ建ての小さな工場から出発した実包製造は、その建物から四方に工場を増築することによって拡大されてきた。訪問当時、このレンガ造りの建物はまだ残っていた。現在はどうなっているのであろうか?

 現在、フェデラル社は、ATK(アリアンツ・テックシステム)という軍需産業の傘下に入っている。ATKは、ハネウエルの軍需産業部門から派生した会社で、アメリカの兵器や武器の製造の一翼を担う会社となっている。会社の発展の過程で、アメリカ政府のレイクシティー実包工場や、CCIブラウント社を取得、買収し、実包製造業務を拡大してきた。以前は、フェデラル社もATK社に買収されたようにウエッブサイトに記載されていたが、現在はそのような記述はない。ATK社が、フェデラルの所在地に本社を置いていることから、ATK社とフェデラル社は一体のようにも見える。

 CCIブラウント社は、拳銃用のあらゆる口径の実包を製造していたが、ATK社に買収された後は、フェデラル社が製造していない口径0.22インチの縁打ち式実包のみ製造するといわれていた。ところが、現在でもCCIブランドの中心打ち式実包の製造が行われている様であり、会社の実態は分かり難い。ATK社の中で、拳銃、ライフル銃や散弾銃用の実包を製造している部門は、警備スポーツ部門(Security and Sporting Group)となっている。

 訪問当時問題としていたナイクラッドは、現在ATKフェデラルの製品からは消えている。

 
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