訳者の私的画像集39


野球帽コレクション6 サヴェージ銃器会社の野球帽

 2006年のAFTEセミナーは、アメリカの銃器産業の故郷ともいえるニューイングランドのコネチカット州で開催された(マグカップ・コレクション5 AFTE第37回スプリングフィールド大会記念マグカップ)。セミナーが開催されたスプリングフィールド市の周辺には、多くの銃器会社が点在している地域である。特に拳銃メーカーとしては最大手のスミス・アンド・ウェッソン社はスプリングフィールド市にある。

 アメリカの警察で銃器や発射痕の鑑定に従事している者でも、これらの銃器会社の製造工場を訪れる機会はそれほどないのが実態である。陪審員裁判が行われるアメリカでは、鑑定の証拠能力を争う場合に、鑑定人の銃器に関する知識が不十分なことを叩くことは常套手段となっている。鑑定人に銃器に関する知識を問い、「知らない」とか、自信のない答え方をさせて、陪審員に鑑定結果に対する信頼性に疑問を感じさせるのである。銃器の製造工程に関する細かい質問も行われることがある。見ると聞くとでは大違いで、実際に銃器の製造工程を見ていると、弁護側からの質問に自信を持って答えることができる。そのため、銃器の製造メーカの工場を訪ねておくことは、銃器鑑定者としてきわめて大切である。

 AFTEのセミナーをスプリングフィールドで開催することになり、多くの会員が、周辺の銃器会社の工場見学ができる機会を楽しみにしていた。セミナーは、この期待に応えられるよう、水曜日を工場見学としたプログラムが組まれた。それまでのAFTEのセミナーは、会場は一つで、皆が一堂に会して同じ講演を聞いてきた。ところが、工場見学を行うことから、スプリングフィールドのセミナーでは、AFTEのセミナーとしては初めて、一部でA会場とB会場の2会場に分けて講演が行われた。

 一方で、工場見学を何度もしている者も多く、銃器の修理技術の習得を目指したい者に対するアーマラー(銃工)コースやニューヨークの大学の先生の講演会など、いくつものコースが分かれて同時開催された。どれも魅力的なコースであった。工場見学のコースは、当初から、サヴェージとS&Wを訪れるコースが設定されており、訳者はそれに参加した。このコースも、先にサヴェージを訪れる班と先にS&Wを訪れる2班があったが、訳者は先にサヴェージを訪れる班に組み入れられた。宿泊先のホテルから、バスで小一時間行ったところがサヴェージ銃器会社だった。空はどんよりと曇り、雨がぱらつくあいにくの空模様だった。

Savage_BaseballCap1.jpg"

 この鮮やかなオレンジ色の野球帽は、その時の工場見学の記念品である。帽子の正面には、黒い糸で会社名Savage Armsが刺繍されている。  

 

Savage_BaseballCap2.jpg"

 オレンジ一色の帽子で、クラウンは、正面の1枚と側面から後面の4枚の布が縫い合わされている。側面と後面の布の中央部には、換気の穴が開けられており、その周囲は刺繍縫いがされている。庇の上には、やはりオレンジ色の紐が渡されている。

 

Savage_BaseballCap3.jpg"

 帽子のサイズは、アメリカンホックで7段階に調節できる。左側に並んだダボに右側の穴を被せるようになっている。

Savage_BaseballCap4.jpg"

 庇の幅は約17 cmで、庇には丸みが付いている。庇は、8条の縫い付けがなされている。

Savage_BaseballCap5.jpg"

   サヴェージ銃器は、インディアンの顔がトレードマークになっているが、帽子にそのマークはなく、社名が縫い付けられている。

Savage_BaseballCap6.jpg"

 正面の、額に当たる部分の内側には、少し硬いメッシュの裏当てがあり、社名はその裏当てと一緒に縫い付けられている。それによって、帽子の正面の立ち上がりが良く、形が乱れない。

Savage_BaseballCap7.jpg"

 品質表示ラベルには、コブラの絵があり、コブラキャップスと書かれている。バングラデシュ製であることが分かる。

Savage_BaseballCap8.jpg"

 綿100%の表示がある。algodonは綿のスペイン語である。

 当時サヴェージ社は、発射弾丸を変形少なく採取する装置であるブッレト・トラップを盛んに宣伝していた。発射痕鑑定で使用する機材であり、実演して性能をアピールしていた。TVショーのCSI:でも、最初は水槽(ウォータータンク)で試射弾丸を採取していたが、2007年のシーズン頃から、サヴェージ社のスネイルトラップを使用するようになったと記憶している。宣伝の効果は上がってきているようである。

 サヴェージ社では、エレガントな女性の技術担当責任者が案内してくれ、技術的な質問にも丁寧に対応してくてたことが印象に残っている。

 
  << 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 >>

訳者の私的画像集 目次に戻る
隠れた証拠に戻る