訳者の私的画像集77


AFTEの発射痕鑑定デモ用カット銃身

 AFTEでは、発射痕鑑定デモ用の弾丸セット、薬きょうセットに引き続き、カット銃身の模型も会員に配布した。

Cut_Barrel1.jpg

 このカット銃身は、全体に黒っぽい色調のプラスチック製で、中心角120度ほどであり、銃身の1/3ほどの銃腔内部が観察できる模型となっている。銃身の長さは126mmである。

 銃身の厚さは、旋底部分で4.0mm、旋丘部分で6.5mm、旋丘幅は9.0mm、腔旋角は約6度の腔旋となっている。腔旋の回転方向は左で、左回転6条の腔旋である。旋底幅を直線的に計測すると約22mmであり、旋底幅は旋丘幅の約2.5倍となっている。このような特徴のある腔旋として有名なのは、口径0.45インチ、コルトM1911A1自動装てん式拳銃の腔旋である。

Cut_Barrel2.jpg

 銃身の外周は滑らかな円筒状で、これもM1911A1の銃身の外観と類似している。

Cut_Barrel3.jpg

 腔旋の旋丘表面には、円周方向の工具痕が付けられていることが肉眼でも確認可能となっている。旋丘の両側にある旋底部分の表面に残されている工具痕は、旋丘表面の工具痕より浅く滑らかな円周方向の痕跡が見られる。

Cut_Barrel4.jpg

 旋底表面を観察したところでは、ブローチ加工によって旋底表面に残される銃身の軸方向の工具痕が明瞭ではない。これは、現実のコルトM1911A1拳銃の銃身とは異なるように思われる。

Cut_Barrel5.jpg

 AFTEの弾丸模型の円筒部分に付けられている腔旋痕は、6条ではあるが、回転角度のないストレートのものだった。また、その旋丘痕幅と旋底痕幅の比はほぼ1:1であった。そのため、銃身のカットモデルの腔旋と弾丸模型の腔旋痕とは対応しない。ただ、6条の腔旋と腔旋痕であるため、部分的にかみ合わせることはできる。

 このようにかみ合わせることによって、旋丘と旋丘痕、旋底と旋底痕の関係を説明することはできる。

(2011.9.2)

 
<< 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 >>

訳者の私的画像集 目次に戻る
隠れた証拠に戻る